運動強度の増加によって血中乳酸濃度は指数関数的に上昇し、この上昇ポイントは乳酸性閾値(LT)として一般的に知られている。LTはランナーの競技力の比較や持久力の変化を評価するために用いられている。実験室でLTを求めるためには、少なくとも乳酸分析器、血液サンプル、そしてそれらを扱うための専門的な知識が必要とされている。そこでコーチや研究者らは簡便にLTを求めるための方法としてVDOT法や30分間タイムトライアルなどの推定法を開発した。しかしながら、これらの推定法の精度は未だ明らかにされていない。この研究の目的は、
LTを ランニングから求めるVDOT法や30分間タイムトライアルの精度をコーチや選手に提供することに加えて、コンコーニテストと2マイルタイムトライアルから求められるLTの妥当性を検討することである。※なお、この研究のLTとは、OBLAのことを意味している。以下、LTと記しているのはOBLA(血中乳酸値4.0mM:Onset
of Blood Lactate Accumulation)のことであるが、原著に従ってここではLTとしている。
| 被験者は競技志向にある持久性ランナーとトライアスリートの27名(男性24名、女性3名:平均年齢33.2歳、5kmの平均記録17分42秒、競技歴は3年以上)であった。LTを求めるために実験室にてトレッドミルによる間欠的速度漸増負荷法によって測定を行った。実験室での測定ではトレッドミルの傾斜角は地面での走行と同じ消費カロリーが得られるように1%の傾斜が付けられた。
LTはLTvisual、LTD-max、LTΔ1の3つから求められ、さらに実験室でのテストで一般的に用いられている血中乳酸濃度4.0mM(LT4.0)の運動強度も加えられた。推定法としては4つのテスト(VDOT法、3200mタイムトライアル、30分間タイムトライアル、コンコーニテスト)を行った。3つのLTの定義は以下の通りである。LTvisualとは視覚的にベースラインよりも乳酸値が急激に上昇するポイント。LTD-maxとはラクテートカーブの開始点と終点を直線で結び、この直線とラクテートカーブで最も距離のあるポイントからラクテートカーブに向けて垂線を引き交わったポイント。・・・続き。 |