Introduction
有酸素性能力の指標である乳酸性閾値(LT)を評価するためのテスト方法として,心拍数の変曲点(HRd)が出現するときの走速度(VHRd)を求めるコンコーニテストや,あらかじめスプリント運動を実施し血中乳酸濃度(La)を高めた後に,漸増負荷テストをおこない,Laが最少になる時の走速度(乳酸最小速度;Vlm)を求める乳酸最小テストが提唱されている.また,理論的には疲労困憊に至ることなく長時間運動を持続可能な運動強度を示すCritical Velocity(CV)は,LTとは異なる性質を持つ有酸素性能力の指標として注目されている.VHRdやVlmがLTの代替指標になりうるのかについて,その妥当性や再現性については数多く検討されているが,これらの指標(Vlm, VHRd, 及びCV)がランニングパフォーマンスの指標になるのか,また、それぞれの指標の関係性について検討した研究はおこなわれていない.そこで本研究は1)ランニングパフォーマンスとVlm, CV, 及びVHRdの関係を比較すること,2)乳酸蓄積を伴わずに運動することができる強度の指標としてのVlm及びVHRdの妥当性を評価すること,3)Vlm, CVを用いた運動強度の規定方法について議論すること,を主な目的とした.
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Methods
被検者はナショナルレベルの長距離ランナー(29.6±6歳,66.4±4.2kg,174.1±4.3cm)20名であった.屋外400 mトラックにおいて,3000 mタイムトライアル(V3000),VHRdテスト(1ステージ200 mの漸増負荷テスト),及びVlmテスト(500 mのスプリントランニング後に,800 m毎に速度を増加させる漸増負荷テスト)を実施した.また,これらのテストから算出したVlm及びVHRd強度で30分間の持久テスト(ET)をおこない,運動中のLa動態を評価した.さらに,Vlmテスト時の500 m,及びV3000の記録を X軸,それぞれの走行距離をY軸として一次回帰式を求め,この回帰式の傾きであるCVを求めた(Y=aX+b,Y=距離,X=時間,a=CV,b=Anaerobic work capacity).20名中14名の被検者が,実験後10日以内に10 kmレースに参加したため,この記録もランニングパフォーマンス(V10 km)として分析に用いた.
・・・続き。 |