<はじめに> 女性長距離ランナーの骨密度が低いことは、これまでに多く報告されてきた。男性ランナーにおいても骨密度が低いという報告はいくつかあるが、女性におけるこの問題ほど深刻に扱われていない。この研究では、男性と女性の骨密度を比較することを目的とした。
<方法> 対象は、109名の最近3年間定期的にトレーニングをしている長距離ランナー(男性44名・女性65名、19-50歳)とした。DXA法にて第2-4腰椎と股関節の骨密度を測定した。また質問紙にてトレーニングおよび月経状況を調査した。
<結果・考察> 腰椎の骨密度をt-score(;健常若年者の標準値との比較)で評価したところ、男性ランナー(-0.8±0.8)と女性ランナー(-0.8±0.7)に差異は認めなかった。股関節の骨密度のt-scoreも男性ランナー(0.6±7.9)と女性ランナー(0.5±9.2)に差異は認めなかった。腰椎の骨密度が低い(t-score <-1.0)男性ランナーと女性ランナーを比較すると、男性ランナー(-0.8±0.7)の方が女性ランナー(-0.4±0.7)よりも低い値を示した(p=0.03)。このことより、女性ランナー同様、男性ランナーも骨量低下の問題に直面していることが確認された。
| 無月経(-1.4±0.7)および経口避妊薬服用中(-1.1
±
0.5)の女性ランナーは、正常月経(-0.4±0.7)の女性ランナーよりも腰椎の骨密度のt-scoreは低かった。近年、ピルが骨量低下を防ぐという見解もあるが、今回の結果からはその真相は不明であった。
週間走行距離と腰椎の骨密度との間には、月経の状況如何に関わらず、弱い負の相関を認めた(男性r^2=0.267、女性r^2=0.189、p<0.001)。これは、走行距離が長くなるほど必要となるエネルギー量を食事で摂取できていないと、骨形成を促す成長ホルモンなどの分泌が抑制され、骨に蓄えている成分をエネルギーに変換しているためではないかと考えられた。また、週2回以上筋力トレーニングを併行しているランナーの方が、男女ともに、腰椎のt-scoreは高い値を示した。ウエイトリフティング選手の腰椎の骨密度が高いという報告があるように、筋力トレーニングはランニングだけのトレーニングとは異なる負荷を骨に及ぼしていることが推察された。
重回帰分析を行うと、女性の腰椎のt-scoreを予測する因子として走行距離(-)・BMI(+)が、股関節のt-scoreを予測する因子としてBMI(+)が検出された。・・・続き。
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